着物の保管方法 - きもの豆知識
着物を保管する上で最大の敵は「虫」と「湿気」です。
虫をシャットアウトするためには密閉すればいいのですが、着物に使われている正絹を綺麗な状態で保存するためには適度な通気性も必要です。
その全てを兼ね備えた家具素材は桐です。
総桐タンスが最適ですが、非常に高価になりますので、内部の仕切りや引き出しなど、部分的に桐を使用したタンスが現実的です。
家具の置き場所は、直射日光を避け、湿度が低く適度に風通しがある場所が最適です。
専用のたとう紙で包み保管します。
防虫剤は絹を傷める可能性があります。
できれば使わない方が良いのですが、どうしても使う場合は絶対に着物に直接触れるような使い方はしないでください。
繊維が脆くなったり、変色の原因にもなります。
また、防虫剤は引き出しの底に入れてもあまり効果を発揮しませんので、吊り下げるなどしてなるべく上の方に置いてください。
乾燥剤・除湿剤・防湿剤は衣類にそれほど影響がありませんので、積極的に活用します。
ただし、それだけに頼らず、年に数回でも構わないので、時々は引き出しを開けて新鮮な空気を送り込みましょう。
これらが着物を長期保存する場合のコツです。
綺麗に保管しておけば、将来誰かに着せる事もできます。
大切に保管したいですね。
着物の紋について - きもの豆知識
紋の数
一つ紋・三つ紋・五つ紋があり、多くなるほど格式が高くなります。
紋の位置
一つ紋は、背紋(背中の左右中央縫い目上、高さは衿から1寸5分)
三つ紋は、背紋+袖紋(袖巾の左右中央、高さは袖山から2寸)
五つ紋は、背紋+袖紋+抱紋(前身頃の左右中央、高さは肩山から4寸)
紋の用途と着物の関係
一つ紋は、色無地・訪問着・附下げ・江戸小紋などに付け、カジュアルな用途に用います。
三つ紋は、色留袖・色無地などに付け、略礼装に用います。
五つ紋は、黒留袖・色留袖・喪服・黒振袖などに付け、格式のある場面で用います。
紋付の方法
染め抜き紋、縫い紋、貼り付け紋などの方法があります。
染め抜き紋は、生地の段階から染み抜く最も格式が高い紋。
縫い紋は、別布に刺繍した紋を縫い付ける略式紋。
貼り付け紋は、接着タイプの簡易紋。
紋の表現方法
日向紋(陽紋・表紋)と陰紋などがあります。
日向紋(ひなたもん)は、紋の形を白く染め抜く格式の高い表現。
陰紋(かげもん)は、紋の輪郭を染め抜いたもので略式。
紋のまとめ
上記の組み合わせから、最高の格式は「染め抜き日向五つ紋」となります。
紋は着物の格上げアイテムのようなものです。
色無地などマルチに着用できる着物は、一つ紋から三つ紋に増やす事で格を上げる事ができます。
また、着物の格式や用途に合わせて用います。
カジュアルな着物に五つ紋や、逆に格式のある場面で着用する黒留袖に一つ紋はおかしいという事になります。
代表的な行事と着物
■子供の行事(お宮参り・七五三・入学式・十三参り)と着物 | |
行事・立場 | 着物の種類 |
お宮参り(生後30日前後) | 一つ身のお祝い着 |
七五三(男児3歳) | 一つ身~三つ身の着物、羽織 |
七五三(男児5歳) | 三つ身~四つ身の着物、羽織、袴 |
十三参り(男の子数え年13歳) | 紋付、袴、羽織 |
七五三(女児3歳) | 一つ身~三つ身の着物 |
七五三(女児7歳) | 四つ身または本裁ち四つ身の着物、中幅帯 |
十三参り(女の子数え年13歳) | 本裁ち四つ身、小振袖、振袖 |
親の着物 | 訪問着、附け下げ、色無地、江戸小紋 |
■その他の慶事で着用する着物 | |
行事・立場 | 着物の種類 |
還暦祝い等の長寿のお祝い 金婚式等の記念日 | 訪問着、色留袖 |
■独身・未婚者の着物 | |
行事・立場 | 着物の種類 |
成人式 | 振袖 |
謝恩会 | 振袖 |
卒業式 | 染着物・袴 |
本人の結納式 | 振袖、訪問着 |
本人の結婚式・披露宴 | 振袖 |
■結婚式や披露宴に出席する時の着物 | |
行事・立場 | 着物の種類 |
独身・未婚なら | 振袖(新婦より格上にならないように注意) |
親として出席 | 黒留袖 |
親戚として出席 | 黒留袖、色留袖、色無地 |
友人・知人として出席 | 色留袖 |
女性の場合、袴を履く機会が少ないため卒業式には是非袴の着用をお薦めします。結婚前は振袖、以降は訪問着と留袖があればほとんどの行事に対応できますね。
着用できる期間が限られる振袖はレンタル、訪問着や留袖はリサイクル着物もおすすめです。また、男性はほとんどの行事において、紋付袴・羽織を着用します。
年中行事とプレゼント、季節の着物
月別 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
着物着用が 粋な行事 プレゼント 贈り物 |
桃の節句 ひな祭り 卒業式 |
花祭り 入学式 十三参り 4月13日 前後1ヶ月 |
端午の節句 子供の日 母の日 第2日曜日 和装小物 |
夏祭り 父の日 第3日曜日 甚平・ 作務衣 |
七夕 祇園祭 |
お盆 盆踊り お祭り 花火大会 |
中秋の名月 敬老の日 第3月曜日 甚平・ 作務衣 |
十三夜 紅葉狩り |
七五三 11月15日 前後1ヶ月 |
大晦日 クリスマス お正月や ひな祭りの 着物を孫に プレゼント |
お正月 成人式 成人の日 第2月曜日 |
節分 針供養 涅槃会 |
普段着など 季節の着物 の種類 |
袷 | 袷 | 袷 単衣 |
単衣 | 夏着物 絽・麻・紗 などの薄物 |
夏着物 絽・麻・紗 などの薄物 浴衣 |
薄物 単衣 |
袷 | 袷 | 袷 | 袷 | 袷 |
また、彩りの少ない時期に敢えて華やかな色柄を着るという全く逆のケースも粋とされています。
この事からもわかるように、決まりごとは有って無いようなものなので、自由に着物を楽しみましょう。
7月,8月 薄くて透ける素材の着物や浴衣
6月,9月 裏地の無い単衣
それ以外 裏地のついた袷